蜂の巣の成長は、いくつかの段階に分けられます。まず、春先に女王蜂が越冬から目覚め、単独で巣作りを始めます。この時期の巣は、まだ小さく、数センチ程度です。女王蜂は、巣作りと同時に産卵を行い、最初の働き蜂が羽化するまで、単独で子育てを行います。働き蜂が羽化すると、巣作りは働き蜂に引き継がれ、女王蜂は産卵に専念するようになります。働き蜂の数が増えるにつれて、巣の成長速度は加速し、夏場には1日に数センチ以上大きくなることもあります。秋になると、新女王蜂とオス蜂が羽化し、巣は繁殖の準備に入ります。この時期になると、巣の成長は止まります。これらの成長段階を理解し、それぞれの段階に応じた注意が必要です。特に、働き蜂の数が増える夏場は、蜂の攻撃性も高まるため、注意が必要です。蜂の巣が1日で大きく成長するメカニズムは、蜂の驚異的な建築能力と、効率的な分業体制にあります。働き蜂は、唾液と木の繊維などを混ぜ合わせて、巣の材料となる「ハチの紙」を作ります。このハチの紙は、非常に軽く、丈夫で、断熱性にも優れています。働き蜂は、このハチの紙を使って、六角形の部屋（育房）を次々と作っていきます。育房は、卵や幼虫、さなぎを育てるための部屋であり、巣の中心部に作られます。巣が大きくなるにつれて、育房の数も増え、巣の外側には、外皮と呼ばれる壁が作られます。外皮は、巣を雨風から守り、内部の温度を一定に保つ役割を果たします。働き蜂は、巣作りだけでなく、餌集めや子育て、巣の防衛など、様々な役割を分担して行うことで、効率的に巣を大きくしていきます。